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敷地権と非敷地権

今年はかなり早く梅雨入りし、まだまだパッとしない天気が続いていますね。この調子でいくと7月に入っても梅雨が明けない可能性の方が高いですが、そんなこんなで新型コロナウィルス蔓延による緊急事態の中、オリンピックが開催されようとしております。

オリンピック出場選手が続々と入国し、試合の準備も着々と整えているころだと思います。出場選手はオリンピック開催中は選手村で過ごすのですが、出場選手が選手村として使うマンションは、オリンピックが終わった後はどうなると思いますか?

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、もうこの選手村は分譲マンション「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」として売却されており(只今、オリンピック延期に付き販売中断中)、オリンピック終了後は購入した所有権者が、自らお住まいになったり、賃貸したり、転売したりするのです。

少し話は逸れますが、この分譲マンションというのは、一戸建てとは違い、自分の土地の上に直接建物を建てて住んでいるのではなく、住戸を縦積みにして所有権を持っています。もちろん、「分譲」ですので、購入した人の不動産なのですが、それではこの分譲マンションは登記事項証明書(権利証)上はどのような権利になっているのでしょうか?

分譲マンションの登記の種類には2種類あり、「敷地権」と「非敷地権(敷地利用権)」といいます。

「敷地権」と「非敷地権(敷地利用権)」

「敷地権」

分譲マンションは正式には区分建物といい、一つの建物を区分して区分所有者が各々の部屋を所有しています。ちなみに複数の人間がひとつの所有権を有する場合を共有、所有権以外の財産権(賃借権など)を有する場合を準共有といいます。共有者は持分に応じて、共有物全体の使用ができるものとされています。これを共有持分といいます。

マンションの権利構成は、単独での建物専有部分の所有権と敷地所有権の共有持分(賃借権などの場合は準共有持分)からなり、両者は一体化され、分離して処分することはできません。つまり、マンションの部屋の部分(建物)だけ残して、土地部分だけを売却するということはできず、土地と部屋(建物)がセットになっています。専有部分と分離して処分できない敷地に関する権利を、「敷地権」といいます。

ですので、法務局に行って分譲マンションの一つのお部屋の登記簿謄本を取得する際には建物の登記簿謄本を取得するとその中に、土地の所有権の共有持分の記載が入っております。

ちなみにこの敷地権の登記は、昭和59年1月1日の「不動産登記法」改正によりできた制度です。

それではこれ以前はどのような登記だったかというと前記にでてきた「非敷地権(敷地利用権)」による登記だったのです。

しかし、法改正後の昭和59年以降のマンション登記(区分所有建物の登記)は、すべて敷地権の登記がなされているかといえば、そうではありません。マンションには管理組合による管理規約がありますが、この管理規約によって建物と土地(建物と敷地)の一体性の原則を排除することもできます。

つまり、管理規約によって定めれば敷地権の登記をしないこともできます。これが「非敷地権」です。

では非敷地権登記はどうなっているのでしょうか。

非敷地権の登記の場合、建物と土地の登記は別で存在します。

敷地権の登記がなされると土地と建物は分離処分ができなくなりますが、非敷地権の場合には土地と建物は別に処分することが可能です。土地は区分所有建物の所有者全員の共有になっており、共有持分の割合は、専有部分の床面積の割合によることが多いです。これを分離して売買するメリットも少ないですし、現実問題、マンションを売買すると、建物の登記を所有権移転するだけではなく、土地の共有持分も移転するのが普通です。

また、分譲マンションを購入する際、担保にお金を借りるので、土地(共有持分に対して)にも銀行は抵当権の登記をするので、建物の所有権移転だけとか、土地の共有持分の所有権移転だけにお金を貸しませんよね。

ですので、通常はあり得ないのですが、物理的には分離が可能ですので所有権移転登記の際は、注意が必要です。

ここ最近の分譲マンションでは敷地権登記になっておりますのでご安心下さい。

このように不動産の権利や登記についてはあまり一般の人の目には触れないので難しいことが多いですが、折を見て解説していきたいと思います。

それでは今回はこの辺で。

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