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生産緑地問題

皆様、新年明けましておめでとうございます。

怒涛の忙しさの中、年末のご挨拶をし損ねましたが、皆様のお陰で、なんとか令和2年を迎えることが出来ております。新年も旧年中と変わらず御贔屓の程宜しくお願い申し上げます。

さて、いよいよオリンピックイヤーでございます。巷では、少子化や空き家問題を含め日本の状況を加味した中で、日銀のETFの買い支え終了やインバウンド投資の撤退等の懸念が後押しし、オリンピック後に日本の土地価格が暴落するのではないかという噂がまことしやかに囁かれております。不動産業の中でも自社で不動産を仕入れて販売し売り上げを伸ばしている企業は毎日が戦々恐々としているかと思います。

土地の値段が高止まりして非常に仕入れのやり辛い状況の中で、いつ暴落するか判らない原価の高額な商品を長期保有すると言う事は、失敗すると企業の「死」に直結するというものです。しかし、それを生業としている中で、急に「仕入れない」という選択肢は無いわけで、毒饅頭のロシアンルーレットをしているかのように、ビビりにビビりながら仕込みをされてるのではないでしょうか?仕入業者様。。。心中お察ししますよ(笑)

とはいえ、土地の下落予想の不穏な種はそれだけではございません。

不動産業界では知らない人はいない、その後に控えている大きな案件がございますよね。

業界内ではすでにカウントダウンが始まっている「生産緑地2022年問題」です。

「生産緑地2022年問題」とは何か?

「生産緑地」は、生産緑地地区の区域内の土地又は森林のことです。

生産緑地法第3条第1項の規定で、具体的には以下のように決められています。

  1. 公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること。
  2. 500平方メートル以上の規模の区域であること。
  3. 用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること。

 

ではなぜこの「生産緑地」という概念が生まれたのか?

「生産緑地」とは、農業を継続することを条件に、固定資産税・相続税等の税務上のメリットを受けることのできる農地です。生産緑地法によって1992年に制定されました。

生産緑地法が初めて制定されたのは1970年代頃です。その頃、人口の増加により一部の都市の都市化が急速に進み、緑地が宅地へと転用されることが増えていました。急速に市街地の緑地が減少した結果、住環境の悪化や、土地が地盤保持・保水機能を失ったことによる災害などが多発し、重大な社会問題となりました。

この問題に歯止めをかけるため1972年に制定されたのが、生産緑地法です。

生産緑地法は、緑地の有する環境機能などを考慮し、農林漁業との調整を図りつつ、良好な都市環境を形成していこうという目的で制定された土地制度でした。しかし、進む都市化による土地不足と地価上昇は止まらず、

さらに1992年に「生産緑地」と「宅地化農地」を定めることになりました。

緑地の環境機能を維持するために、農地として保存すべき土地は保全する「生産緑地」と、宅地への積極的な転用を進めていくための「宅地化農地」。土地の目的を大きく2つに分けることで、都市計画において一定の効果を収めたこの制度は、法の改正を重ねながら、現在に至っています。

ではどの位の広さの生産緑地が日本全国にあると思いますか?

実は東京ドームに換算すると約2,900個以上にも相当する広大な土地が、生産緑地に指定されています。

そのほとんどの土地が、三大都市圏(首都圏・中部圏・近畿圏)の、特に東京都・愛知県・大阪府とその近郊の3県に全体の約8割が集中しています。

簡単に言いますと、1992年に生産緑地指定を新たに設けたことによって、この年に多くの生産緑地が生まれました。これらはその後30年間、農地を転用しなければ固定資産税は一般宅地の50分の1から300分の1の減税が受けれるのです。

もし、この間に宅地などに転用すればさかのぼって税を徴収されるので皆、農地以外に転用しないのですが、

この30年の期限が2022年というわけです。

業界内ではこの転用できるようになった土地が大量に売られ、土地価格が下落すると予想している人が多いでしょうが、果たしてどうなるのでしょうね?僕もこれについては答えは持ってないです。ただ、この売りの土地をうまく掬えて、新たな収益化の構想がある人にとっては「人の行く裏に道あり花の山」であることには間違いありません。では今回はこの辺で。

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