河合哲司 不動産よろず相談所

ブラック企業はそんなにダメなのか?

年末まであと2ヶ月を切りましたね。時の経つのはほんとに早いものです。我が家も先日、コタツを出したり暖房器具を準備したりと、じわりじわりと冬支度を行っております。

さて、最近のニュースを見ているとブラック企業といわれる会社のバッシングが後を絶ちませんね。

明らかに不法行為をしている会社はさておき、僕自身、昨今の何でもかんでも自身の勤めている会社をブラック企業だと声をあげていうのには、非常に違和感を覚えます。

世にいう一般的なブラック企業の特徴は「労働時間が長い」「休日が少ない」「有休がとりたくても取れない」「給料が低い」「残業代が出ない」「パワハラ・セクハラ行為が横行してる」など数を上げるとキリがありませんが、大体は「嫌やったら辞めたらええやん。」の話です。まあ、それは極論だとしても、労使均衡してバランス取れてる中で吠えるのはちょっと考え物です。

少し話は逸れますが、僕は小林多喜二の「蟹工船」が大嫌いです(笑)
読んでる人なら話は分かると思いますが、そもそも、無理やり縄に縛られてきて強制連行されて蟹工船に乗せられたのではないでしょ?選択肢が少なかったとはいえ、その労働を選択したというそもそもの所を差し置いて、やれ不当労働だの劣悪環境だのをヒューチャーされても、同情しかねるところがあります。

まあ反資本主義のプロレタリア文学なので、そのような思想をもとに描くとああいう表現になるのかと思いますが、切り口が一方的過ぎますわ。。。

現代社会のブラック企業を吊るし上げられる風潮も蟹工船の労働者に通ずるものがあるとつくづく思います。

こと我々不動産業界、特に一昔前、僕たちが働いていた頃の不動産仲介営業なんて、ブラックどころか漆黒でしたよ(笑)キックやパンチは当たり前。チラシ反響の電話がなって案内アポや裏取り(電話番号を聞けない)出来なかったら、灰皿が飛んでくるなんて日常茶飯事でした(笑)

帰宅時間なんて有って無いようなものでした。先輩社員がお客様宅に買付証明を取りに訪問に出かけると、帰社するまで帰れないとか、デスク業務が夜の11時頃終わって、それからチラシを作成し、カッターシャツがインクまみれになりながら輪転機を回して、そのチラシを朝の3時くらいまで配ったりね。

新人の頃なんか、先輩がとってくる成約の重要事項説明書や契約書をひたすら作らされ、間違っていると怒鳴り倒されたりもしました。他にも一杯ありましたけど忘れましたね(笑)

当時は理不尽極まりないと感じましたし、恐怖で会社に行きたくないと思った日も数え切れません。
離職率も半端では無い数でした。

しかし、今振り返って考えてみると当時のそういう体験があったからこそ今が有り、過去の礎の上にしか上積みできない体験も現在まで出来ているんじゃないかなあと思っております。

現在、クライアント様から頂戴している重要事項説明書・契約書の作成を間違いなく精度高く打てるのも、あの当時、むかつきながら先輩や上司の書類をひたすら打たされてた経験があるからこそですしね(笑)

今の人たちは結果やヤリガイを早く求めすぎだと個人的には思います。
そんなものは一朝一夕で得れるものではないんではないでしょうか?
「会社の事で使った時間=仕事量=金」ではないですよ。

時間と金をタイトに結び付け過ぎるのでそういうふうに短絡的に「ブラック企業対労働者」みたいな構図になるのですかね?そう思うのは全然結構なんですが、そうすることにより、より頭の使わない時間だけを使う仕事に傾倒しますし自分の成長の妨げになるだけでなく一生安月給で酷使されるようになるんじゃないかと思います。

若い頃に受ける理不尽や不平等は自分への成長の投資と考えて、後からその経験を生かしてがっぽり稼いでやればいいんです。

別にブラック企業と呼ばれる企業を擁護したり推奨するつもりもないですが、僕に言わせるとホワイトな企業できっちりと時間にそったお給料を支払い、完全にマニュアル通りにきっちり管理され、なんなら社宅まで用意してくれているような一般的に優良企業と呼ばれる会社の方が社員にとって最も残酷な企業なんじゃないでしょうかね?人間としての成長を削がれて一生自分の足で立てないような気がして僕はぞっとします。。。

最近のずれた働き方改革を見て「あー。僕ら中年はまだまだ安泰でんなー」と思いこんな記事を書いてみました(笑)